作 藤原一枝・はたこうしろう 絵 はたこうしろう 岩崎書店

Kuma
ありあまるパワーと時間があった“あの頃”を思い出させてくれますよ。夏の絵本といったらこれ!

皆さんには長期休暇のときに帰る田舎や故郷と呼べる場所はありますか?
私の母方の実家はサルやイノシシはもちろんのこと、シカやタヌキにリスやウサギも見かけるほど山の中にあり、小学生くらいまでは年に二回訪れ、二、三泊するのが恒例でした。
遊べる川があり、家のすぐ前に畑、裏は竹林。
少し歩くと棚田や水の湧く場所、廃校になった小学校のグラウンドがありました。
井戸で冷やした西瓜の味、花火の色、湿った土の匂い、薪で沸かしたお風呂の香り、竹林を通り抜ける風の音、ヒグラシの鳴き声……
夏はとくに五感を刺激してくれたように思います。
さて、絵本の登場人物は都会暮らしのぼくとおとうと。
時間を持て余していた夏休みに田舎の親戚のおじさんの家へ二人でお泊りに行くことに。
そこで体験する数々のできごとが、はたさんのさわやかでかわいらしい絵で描かれています。
青い空と白い雲が印象的な表紙と、林の中で虫取りをしている場面がとても好きです。
虫取りの場面の「ジョワーン!」の音と迫力ある木々の構図でセミの大合唱がありありと浮かびます。
遊びに行った田舎での暮らし。
そうそう、あったと頷きながら読んでしまいます。
それにしても子どもって本当にパワフルで楽しいこと探しの名人。
自分もそうだったかなと、この絵本を読んで振り返ってみたりして。
今では当時のパワーは見る影もないですが、何十年経った後でも、鮮明に思い出せる風景が確かにあるのです。
タイトルにある「まほう」がどんなまほうかは、読んでのお楽しみ。
まだまだ暑い日が続きますが、この絵本を読むときっと、自然に触れたくなりますよ。



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