赤い蝋燭(ろうそく)と人魚

小川未明 文  酒井駒子 絵     偕成社

<span class="marker-blue">Reen</span>
Reen

圧倒的な物語の世界に引き込まれる一冊。暑い夏の時期にひんやりとした心持ちになりますよ!

前にもご紹介しましたが、絵本と児童書との違いについて。

絵本は絵が物語の中心になり、絵がないと話が伝わりにくい子ども向けの本。

対して児童書は文が物語の中心で、絵は補助的な役割の子ども向けの本のことだそう。

今回ご紹介する「赤い蝋燭と人魚」は、戦前に発表された創作童話(児童書の一種です)を、酒井駒子さんの美しくも繊細なタッチの絵で絵本に仕立て上げた作品。

先ほどの絵本の定義からすると字の多いストーリーですが、独特の世界観にぐんぐん引き込まれてしまいます。

先日、なんと一人で沖縄へ遊びに行き(笑)、路線バスで美ら海水族館のある海洋博公園へ。

初めての訪問で、黒潮の海と題した大水槽のなかで悠々と泳ぐジンベエザメの姿には深い感動を覚えました。

ジンベエザメのあとはイルカショーを見学。

オキちゃん劇場と施設に名前を冠したそのイルカのオキちゃんはなんと、50年もの間、ここのプールで飼育されていると紹介されているのを聞き、なんだか違和感が…

よくよく考えてみると、ジンベエザメもイルカも本当は水槽やプールではなく、大海原で仲間と一緒に泳いでいるはずなのですよね。

私たちがその姿を気軽に見たいからと、長い年月にわたって閉じ込めておくのは、人間の傲慢ではないかと感じてしまったのが、違和感の正体でした。

この絵本、救いのない暗い結末の物語です。

子どもを宿した人魚が、人情があってやさしいと聞く人間の世界で自分の子は暮らしたほうが幸せだろうと思い、陸に近づいて人魚の赤ちゃんを産み落とします。

その人魚の赤ちゃんは女の子で、蝋燭屋の年より夫婦に拾われ、大事に育てられていたのですが…

物語を読んで思うのが、「因果応報」という言葉。

「人間ならなにをやってもよいし、できないことなんてない」と思いあがっていると、大きなしっぺ返しにあうのだよと、人魚が教えてくれている気がします。

読んだあと、心がひんやりする「赤い蝋燭と人魚」。

お子さんと一緒に読んで、感じたことを話し合うなんて時間をもつのもステキですね。

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