「ふつう」のくらしを うばわれた なんみんのはなし
コンスタンチン・ザテューポ作 藤原潤子訳 かけはし出版

独特の色彩感覚とイラストが印象的な絵本 普通の人たちの「ふつう」でない経験を描くストーリーに胸が痛くなりました

ドイツのベルリンで暮らすロシア生まれの絵本作家、コンスタンチンさんによって生まれた難民を描いた本書。
副題は、「ふつう」のくらしをうばわれたなんみんのはなしとありました。
実はおうち、というか建物が大好きな私。
この絵本のなかでも似たような話が出てきますが、子どもの頃、ドラえもんのスモールライトでおうちを小さくして持ち運べたらいいなと夢想したことを思い出しました。
難民になるって、今の日本で暮らす私たちにはなかなか想像がつきません。
家も大切なものもほぼすべてそのままにして、生き延びるために逃げていくことが、どんなにやるせなく辛いことか。
この絵本の題名に入っている「ふつう」という言葉。
ふつうに明日も続くと思っていたあたりまえの日常が突然奪われる。
決して他人ごとだと思っていてはいけないのでしょう。
コンスタンチンさんが描く絵は、難民と聞いて思い浮かべる暗いものとは違います。
独特の色彩で、細部にわたっておうちや人や町が描かれていて、眺めているだけでも楽しめますよ。
ところで、世界中で内向きの人たちが増えているという話をよく耳にします。
私が感じるのは、自分自身の「ふつう」は大事にしても、よその人の「ふつう」には関心がないような人が多くなっているなということ。
同じ日本人同士でも、地方によって言葉のイントネーションが異なり、生まれ育った家庭によって考え方や習慣も違います。
自分が信じる「ふつう」は本当に正しいのでしょうか。
どんな人とでも互いの「ふつう」を尊重し合えることこそ、望むべき世界ではないのかしら。
この絵本、お子さんのいる方はぜひ、一緒に読んでみてください。
世界にはこういう子どもたちが大勢いて、それでも懸命に生きていることを伝えてあげてほしいなあ。
親子でいろいろなことを学ぶことができる、おススメの一冊です。
※「かけはし出版」は神戸にある神戸市外国語大学の藤原潤子准教授が、教育研究活動の一環として立ち上げたひとり出版社。
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