ぼくのたび

作 みやこし あきこ          ブロンズ新社

Reen
Reen

読むと旅に出たくなる絵本。リトグラフで描いてあるシックな絵も魅力的で、大人にこそ手に取ってほしい一冊です

ゴールデンウィーク、お盆休み、年末年始の休暇と大型連休にはこの三つがありますが、

もっともさわやかな季節のゴールデンウィークが、一番、旅に出るのにふさわしい気がします。

あるまちで小さなホテルを営んでいる主人公。

ホテルには世界じゅうからお客さんがやって来るのに、主人公のぼくは暮らしている小さなまちから出たことがありません。

仕事を終えた夜中、ベッドのなかで空想の旅に出かける様子が、リトグラフの温かな絵で描かれていますが、そのステキなこと!

絵本のページをめくりながら、「ああ、知らない国、見たことのない景色の場所へ行ってみたい」としみじみ思います。

旅って、出かける前の計画が楽しくて、あそこに行こうか、ここはどうだろうかと考えたり、地図やガイドブックを見たりしているだけで十分満足してしまうのは私だけかしら(笑)

実際に旅行に行くと、長時間の移動にうんざりしたり、どこもかしこも混んでいて並んだりと、けっこう疲れます。

とはいえ、どこかへ行きたいという好奇心は人生にとって大切なスパイス。

様々な事情で、現実の旅に出るのが難しい人でも、この「ぼくのたび」を読めば、心がふわりと軽くなり、お出かけをしたのと同じような気分になりますよ。

題名にある通り、たびがテーマの絵本ですが、描いているのは、自分の仕事に誇りをもって、日々を大事に生きている、主人公の姿です。

もしかしたら、旅というのは、かわり映えのしない日常の延長にあるのかも、と感じました。

今はまだこの場所をフラッと離れて、遠くの知らない世界に行くことはできないけれど、いつかはこの日常が非日常へつながるのかしら。

空想めいたことをあれこれ感じて考えてしまう、味わい深い絵本です。

忙しい毎日に心をすり減らしてはいませんか。

本当は、仕事も家事も子どもの世話も一切をほったらかしてどこか遠くへ行けたら良いのですが、そんなことは現実では難しい。

だったらせめて、好きな飲み物を傍らに置き、「ぼくのたび」を読んで、リフレッシュしませんか。

絵本の表紙と裏表紙の見返しに描かれているのは、飛行機から見る景色でしょうか。

美しい絵を眺めているだけでも、明日からもまたがんばろうと思えてきます。

コメント